2010年05月11日

統合機運の基盤~ユダヤ教(出自バラバラの寄せ集め集団を統合する観念)

歴史上の社会統合観念である古代宗教(儒教・仏教・ユダヤ教→キリスト教、イスラム教)が登場した基盤、その時代背景を明らかにする。
前回までに、儒教(力の原理の追共認⇒序列規範)、仏教(自我私権の捨象→宇宙の摂理)、イスラム教(遊牧共同体国家による市場の制御)を取り上げた。今回は、ユダヤ教を取り上げる。
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画像はこちらからお借りしました。
『嘘だらけのヨーロッパ製世界史』(岸田秀著 新書館)から引用する。

旧約聖書の「出エジプト記」にあるように、BC13世紀の中頃に、奴隷としてこき使われていた白人たちが虐待に堪え兼ねてモーセに率いられてエジプト帝国から逃亡する。この逃亡奴隷の白人たちがつくった宗教が唯一神ヤハウェを崇拝するユダヤ教という一神教であり、この一神教のもとに団結した白人たちがユダヤ民族と称されることになったと考えられる。
ユダヤ民族の祖先とされているセム族はBC20世紀頃から古代オリエントあたりにいたとされているらしいが、このセム族が戦争捕虜として囚われて奴隷にされたか、あるは、エジプトを侵略したヒクソス族に従属していたセム族が、第18王朝によってヒクソスがエジプトから追われたとき(BC1570年頃)に取り残されて奴隷にされたか、いずれにせよ、エジプトで奴隷になっていたセム族がそのうち耐えられなくなって逃亡し、カナンの地に留まっていた残りのセム族と合流してユダヤ民族となったとされているようであるが、どうもよくわからない。
エジプト帝国の対外征服の過程で戦争捕虜になっていたのはセム族だけではないであろうし、まだユダヤ教という絆が発明されていなかった何百年ものあいだ、エジプトで奴隷になっていたセム族と、カナンの地に留まっていたセム族とは、離れ離れになっていたわけで、一方が奴隷だったのだから自由な交流があったとは考えられないが、この両グループは、そのあいだ、どのようなことを根拠にして、お互いに同じセム族であると認識し続け、出会ったとき、そのことを確認することができたのであろうか。昔からカナンの地に同じ民族のセム族がいたというのは、カナンの地に辿り着いたユダヤ民族がカナン占領を正当化するためにつくった作り話ではなかろうか。
エジプトで奴隷になっていたのは、セム族だけでなく、多くの雑多な民族であり、ユダヤ教という一神教が発明され、彼らがこの一神教を軸にしてまとまったとき、初めてユダヤ民族が成立したのであって、そのときカナンにユダヤ民族の同族がいたわけではないと想像しているが、わたしは古代オリエント史の専門家ではないので、その説に自信があるわけではない。

スペイン人やイギリス人に滅ぼされ、根絶やしにされた民族は別として、生き残り続けている民族としては、ユダヤ民族ほど過酷な運命に翻弄され続けた民族はいないであろう。逃亡奴隷としてのその悲惨なスタートは言うに及ばず、カナンの地にあって王国を築き、ダビデ王、ソロモン王のもとで栄えたのも束の間で、BC10世紀には王国は北のイスラエルと南のユダに分裂し、イスラエル王国はBC8世紀にアッシリアに、ユダ王国はBC6世紀にバビロニアに滅ぼされる。
その後は、マケドニア、エジプト、シリアの周辺諸国に支配される。やっとBC2世紀の中頃、オリエントと地中海世界の支配勢力がギリシアからローマへと移る狭間の時期、東方に勢力を伸ばそうとするローマ共和国の支援のもとに、ユダヤ民族は、ユダヤ民族の絶滅を図るシリアと25年間も勇敢に戦って(マカバイオス戦争)、バビロン捕囚以来ほぼ450年ぶりにふたたび独立を獲得したものの、支援者だったローマはいつの間にか支配者に変じ、それから80年も経たないBC63年に、ユダヤの地はまたもや異民族のローマに支配され、AD6年、その直轄属領となる。広大なローマは、周辺に多くの属領をもっていたが、不満を抱きながらも、おおむね従順だった他の属領民のなかでユダヤ人だけが、属領民になっても、例外的に反抗的であったらしい。
その上、一神教のユダヤ教徒は、ローマ人には奇妙に見える戒律をかたくなに守り、ローマの神々を敬わなかったため、また、皇帝をヤハウェに優る神と認めず、皇帝礼拝を拒絶したため、属領民として最もひどく迫害されたとのことである。

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イェルサレムの「嘆きの壁」
画像はこちらからお借りしました。
約3300年前にモーセを先頭にエジプトから脱出したユダヤ人=ヘブライ人がシナイ山で唯一神と契約を結んだ(十戒、律法)。これを原型として、唯一絶対神ヤハウェと契約したものだけが救済されるという選民思想ユダヤ教が確立する。それは2600年前のバビロン捕囚、つまり、ユダ王国がバビロニアによって滅ぼされ住民の多くが、バビロニアに連行された時代である。
岸田秀氏の仮説で注目すべきは、ユダヤ民族という、歴史や文化、風土を共有する民族、つまり本源集団という共認基盤を有する民族が元々いたわけではないという点だ。
実際、ユダヤ教が成立したバビロン捕囚時代でも、『ウィキペディア(Wikipedia)』「バビロン捕囚」によると、古代オリエントでは戦争捕虜を強制連行して奴隷化することは頻繁に行われており、バビロニアにもエラム人、メディア人、ペルシア人、エジプト人、ギリシア人など、広範な地域から人間が集められた事がわかっている。古代エジプトから脱出した「ユダヤ民族」も同様で、『ウィキペディア(Wikipedia)』「ユダヤ教」にも、エジプトから脱出したユダヤ人=ヘブライ人とは、民族・人種ではなく、社会的下層の人々とされている。
つまり、エジプトに侵略され戦争捕虜としてエジプトに連行された出自バラバラの奴隷たちが、唯一絶対神を統合観念として結集しエジプトを脱出した。彼らが「ユダヤ民族」と称するようになり、後に掠奪集団と化してカナンの地(現在のパレスティナ)を侵略して作ったのがイスラエル王国である。岸田秀氏の仮説の通り、「カナンの地に住んでいたユダヤ民族」というのはカナン侵略を正当化するための作り話であり、ユダヤ民族と言う部族がいたわけではない。「ユダヤ民族」というのは各所からエジプトやバビロニアに連行されてきた出自バラバラの奴隷(戦争捕虜)たちの寄せ集め集団だったのではないだろうか。
彼らを統合するための観念ユダヤ教は、なぜ、排他性の強い選民思想となったのか?
『実現論』「私権文明を問い直す(東洋と西洋)」より引用。

イラン高原は急速に乾燥していったことにより、極めて深刻な食糧危機に陥った。従って、遊牧派生の邪心集団による掠奪闘争は極めて激しい容赦の無いものとなり、皆殺しが常態となる。従って、仲間を皆殺しにされて一人二人と生き残った者たちは憎悪と警戒心の塊となり、共認基盤を失って終ったことと相俟って、全面的にかつ強く自我収束する。そんな者たちが生き延びる為に寄せ集めの新たな掠奪集団を形成しては他部族を襲うという形で、数百年に亙って掠奪闘争が繰り返された。そんな生き残りの末裔が、西洋人である。それ故に、本源共認の基盤を根こそぎ解体して終った西洋人は、本源的な共認収束力≒集団収束力が極めて貧弱で、自我収束が極めて強い。しかし、自我だけでは共認を形成できない。そこで彼らは、専ら自我に基づく本源風の架空観念に収束し、架空観念で共認を形成する。

こうして自我に基づく極めて独善性・排他性の強い唯一絶対神を非現実世界に構築したのがユダヤ教である。
このように、ユダヤ教とは、本源集団を破壊されて共認基盤を失った出自バラバラの戦争捕虜(奴隷)たちを寄せ集め集団として統合するための観念だったと考えられる。そのためには、特定部族の統合観念である守護神信仰や神話では統合することはできない。寄せ集め集団を統合するために、部族を超えた唯一絶対神が作り出された。これがユダヤ教の原型であろう。
そして、その観念内容は、本源共認の基盤=本源集団が破壊されて自我収束したが故に、唯一絶対神と契約したものだけが救済されるという選民思想となってゆく。それが確立されたのは、2600年前頃、より強力な侵略国家バビロニアによって王国を滅ぼされ、再び戦争捕虜(奴隷)となった時代である。このバビロン捕囚という逆境下で、元々の出自がバラバラの寄せ集め「民族」の統合を維持するためには強力な観念が必要とされる。そのために編纂されたのがユダヤ教の経典「旧約聖書」だったのであろう。
(本郷猛)
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List    投稿者 hongou | 2010-05-11 | Posted in 12.現代意識潮流7 Comments » 

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コメント7件

 高田 | 2010.12.24 22:14

「自然音を左脳で聞く日本語の凄さ」というのは角田忠信という人の実験結果と思いますが、この人、その「理論」を捨て去っているはずですが。つまり、被験者によってかなり異なる結果が出ているということです。全てはもう一度、実験をやり直した方がいいですね。
 その程度の信憑性の薄い話をいまだに日本人論として(よせばいいのに、日本人優越性の理論として)後生大事にしているのは頭の悪いネトウヨ高校生ぐらいなものですよ。

 !うにまろ!日記 | 2010.12.25 19:41

原口氏の講演(講義)H22.12.20拓大

原口氏公開講座 H22/12/20  拓大
おもしろかったあああああ!!!!
非常に面白かった。
http://hanasan.iza.ne.jp/blo

 ★ようこそ「イサオプロダクトワールド」へ★isao-pw★ | 2010.12.26 23:20

★誰も書かない東村高江区の生き地獄!凝縮された日米同盟の不条理!

★誰も書かない東村高江区の生き地獄!凝縮された日米同盟の不条理!地上部隊の全面撤

 hihi | 2010.12.28 20:30

後生大事になんかしていないですよ。
別に、自然音を左脳で聞かなくとも、ブログの論旨は変りません。

 そらから | 2011.01.06 18:40

日本人は外国人の優れた部分だけを見て
それを見習おうとします。
そして自らの優越性をむしろ遠慮して自慢しません。
外国人は日本人がすこしでも自国の優越性を主張すると
すかさずそれに対してネガティブなレッテルをはったり
重箱の隅をつつくような難癖をつけて
本質的な論点をずらすようなことをしてきます。
こうした詭弁をクールにスルーできるようになりたいものです。

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