2010年05月07日

潮流7~暴走する社会(特権階級の暴走と下層階級の暴走~

前回のエントリーでは、バブル崩壊後の経済危機(私権体制の危機)が、目先の安定志向→試験制度への収束を生み、それが現在、実に歪な学歴身分社会を作り出していることを明らかにした(ここでは学歴に加えて、医者、弁護士、会計士などの上位資格への収束も含め、学歴身分社会と呼ぶ)。
今回のエントリーでは「潮流7:暴走する社会」の紹介を通じて、それら上位身分を獲得した、学者・官僚・マスコミなどの特権階級(社会統合階級)の暴走について明らかにしてゆく。
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私権原理が崩壊し、社会が統合軸を失うと、歯止めを失って社会は暴走してゆく。無差別殺人やモンスターペアレンツの登場もその一例であるが、最も恐ろしいのは、社会を統合する役割を担っている特権階級の暴走である。
経済危機が生み出す危機感は、現体制の上位の者≒特権階級ほど切実であり、強い。従って、目先の制度収束は、上位≒特権階級主導で形成されたと見るべきだろう。
実際、授業や試験に収束しているのは、上位の子供たちである。何よりも、特権を維持するために自分たちに有利な制度を作って格差を拡大し、身分を固定させてきたのは、専ら特権階級の仕業である。
大多数の私権意識が薄れていく陰で、ひとり権力喪失の危機感を募らせた特権階級は、その飼い主たる金貸しや国際企業を含む自分たちの特権を維持するために、優遇税制をはじめ様々な特権制度を強化し、その結果ますます格差を拡大させ、身分を固定化させてきた。

これら特権制度についていくつか事例を紹介しておきたい。
①トヨタなど輸出大企業は、消費税を実質的にまったく負担しないばかりか、戻ってくる。
この税制は「輸出戻し税」で、日本で消費されたものには消費税をかけられるが、海外で消費されたものには消費税はかけられない、しかし、輸出する商品を作るための原材料等には消費税はかかってくるので、申請すれば、後からその分を返却される・・・と言う税制である。この制度によってトヨタ1社だけでも2,300億が還付され、輸出上位10社では1兆円の戻し税が還付される。
②国民が細って、大手銀行がもうかる仕組みがある。
例えば昨年は法人税の大幅減収かつ、財政出動強化で、国債が50兆円以上の規模(通常は30兆円規模)に膨れたが、そのうちの22兆円弱(通常は10兆円台規模)は国債利払いで金融機関に支払われた。昨年は運悪く長期国債償還期に当たり、利払いが大幅増となっていた。しかしながら狡猾な財務省は巧みにこれを隠蔽し、国債大幅増発は景気対策で止むなしと国民を騙すキャンペーンを張ったのである。以上のように日本の財政構造は最終的に金融機関にお金がたまる構造となっている。日本の大手銀行は、国民預貯金で買った国債の償還で巨額の利払いを受けるにもかかわらず、周知のように、日本は近年、半永久的な低金利社会となり、預貯金している国民にはほとんど利子を払っていない。これこそ従米自公政権で採用を余儀なくされた超低金利プラス露骨な大資本優遇政策の結果なのだ。
③大銀行は10年間法人税を払っていない
日本における3大メガバンクグループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友)6銀行はこの10年間全く法人税を払っていない。六銀行は、これまでに多額の公的資金で支援を受けた結果、例えば2007年度の税引き前純利益は約一兆七千億円にのぼる。しかし、過去の損失を黒字と相殺して減税できる措置により法人税はゼロとなる。
これらは文字通り、金融機関や大企業に対する露骨な優遇税制であって、これらが社会格差を拡大し特権身分を固定化させてきたのである。

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(写真左:「トヨタ自動車株式会社」ウィキペディアさんからお借りしました。)
(写真右:「下請工場(イメージ)」)

とりわけ、団塊世代以降の特権階級は、貧困を知らず、本当の私権圧力を知らない。従って、彼らは、肉体的欠乏に発する本当の目的意識を持ち合わせていない。彼らは、単に試験制度発の「合格」という無機的な目的意識を植え付けられてひたすら試験勉強に励み、「特権」を手に入れた連中である。しかも彼らの大半は、試験制度という与えられた枠組みの中でひたすら「合格」を目指してきたので、その前提を成す枠組みそのものを疑うという発想が極めて貧弱である。
従って、彼らは社会に出てからも、ひたすら既存の枠組みの中で走り続けることになるが、もはやそこでは、既存制度によって与えられた特権の維持と行使という目的以外の目的意識など生まれようがない。
かくして、団塊世代が幹部に就いた’00年以降、彼ら特権階級はひたすら与えられた特権を行使し、次第に「社会を動かし」「世論を動かし」ているという支配の快感に溺れてゆくようになって終った。
それだけではない。危機に脅えた特権階級は、アメリカの力に拠り縋り(その結果、アメリカの言い成りになって)中立公正も何もない露骨な偏向・煽動報道によって小泉フィーバー、郵政選挙を演出し、更には検察とマスコミが一体となって、鈴木宗男、佐藤優、植草一秀、小沢秘書etcの政敵を失脚させてきた。
これは、麻薬中毒よりももっと恐ろしい、権力の自家中毒である。

私権体制の危機に直面した特権階級たちは、2000年以降アメリカに国を売り渡し、社会格差を拡大させた「小泉改革」に反対する政治家や評論家をマスコミと検察の力を使って次々と排除してきた。橋本龍太郎、野中宏、鈴木宗男、二階俊博、そして執拗な小沢捜査いずれも森・小泉一派=清和会と対立する最大の政治勢力である、旧田中派=経世会出身の政治家たちである。また文字通り権力の私物化である。
ではなぜ彼ら(官僚・検察・マスコミ)は何故ここまで暴走できるのか?潮流7で触れられている論点とは違った観点から、その構造を明らかにしていきたい。
その鍵となるのは大衆における「私権意識の衰弱」である。
私権社会は互いが私権を巡って合い争う社会である。従って、相互に抑制力が働く関係でもある。しかし、2000年代初頭「私権意識の空中分解」によって大多数に大衆は私権に対して無関心となる。そのことで試験エリートに代表される私権意識の強いものたちは、少数派となる。大多数の者が私権に無関心な中にあっては、少数の私権意識の強い連中にとっては抑制力が働かないので、好き放題できる空間が生まれる。自由な空間が与えられて驕り高ぶり増長して暴走することも可能になる。いわば一種のニッチ空間が生まれるのだ。
一般的には進化史上は、ニッチ空間とは、生き残りをかけて他の外敵のいない新天地に踏み出すことを指す。しかし、この現在の特権階級たちが手に入れたニッチ空間は、大多数の人間が無関心となることで手に入れた空間である。その意味では、新天地とは逆の古い空間であることから見ても、歴史のベクトルに逆行している点から見ても「偽ニッチ」と呼ぶに相応しい。「抑制力の働かない偽ニッチ空間」これが、彼ら特権階級が暴走する構造である。

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(写真左:「野中広務」イザさんからお借りしました。)
(写真右:「小泉純一郎」イザさんからお借りしました。)

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(写真左:「竹中平蔵」日経ビジネスさんからお借りしました。)
(写真右:「植草一秀」)

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(写真左:「樋渡利秋」)
(写真右:「小沢一郎」一期一会さんからお借りしました。)

改めて、我々は、私権時代の遺物である試験制度の恐ろしさを、もっと真剣に考える必要があるだろう。この目先の試験制度収束は、新たな学歴身分と格差の拡大を生み出し、特権階級を暴走させただけではなく、ネットという闇空間での誹謗中傷や無差別殺人etc下層階級をも暴走させてきたからである。
とりあえず、ペーパーテストの比重を半分以下に低減させるetcの応急措置が急がれる。又、ネットから闇住人を締め出す措置も急がれるだろう。
ネットの闇空間の住人もモンスターペアレンツも、また「嫌煙権」「セクハラ」などのマナーファシズムを産み出した「声の大きな少数派」たちも、同じくこの「偽ニッチ」の概念での説明が可能である。すなわち圧力が衰弱すると(自我の発現可能性が広がるので)自我が肥大する。その上、私権や自我を抑制する力である私権圧力はとことん衰弱している。しかし、個人の権利を絶対とする私権法制とそれに基づく制度は残存したままである。
常にスキあらばと私益を狙っている自我・私権派にとって、制度はそのままで、圧力だけ低下したこの状況は至る所スキだらけであり、好き放題が可能になる。
しかし、根本的には、私権原理に代わる新たな統合原理=共認原理が確立されない限り、社会の暴走は続くことになる。

この暴走の構造を逆転させるには、私権圧力に変わる大衆の共認圧力しかない。
次回は「潮流8:自民党は何故見限られたのか?」を紹介することで、この暴走の構造を転換させる新たな意識潮流について触れていきたいと思う。

List    投稿者 kuwamura | 2010-05-07 | Posted in 未分類 | 1 Comment » 

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コメント1件

 !うにまろ!日記 | 2010.12.29 22:53

1999以降

(以下抜粋)
以下は、ヒトラーが語った言葉(予言)である。
『1999年以後』(祥伝社)から抜粋
「…“2つの極”はますます進む。
1989年以後、人間は…

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