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2008年06月13日

排出権取引、その実情は?

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1997年の京都議定書において、日本は1990年比6%を削減目標としているが、2005年時点で削減どころか、90年比+7.8%の増加となっています。

京都議定書に定める削減義務は2008~12年までの約束期間の平均値で測られる。1990年の総排出量は12.61億CO2tであり、日本が削減すべき13.8%は1億7,402万tとなる。つまり、1億7,402万tを5年間毎年買い続けると、取引総額は2.78兆円となる(※1)。
ただしCO2取引価格は2011~12年には2倍にも3倍にも高騰すると言われていることを考慮すると、実際の取引額はもっと上昇すると思われます。

地球温暖化の真の原因がCO2濃度の上昇であろうがあるまいが、既に決められた目標に向かって排出権取引額を少しでも減らそうと右往左往しているのが日本政府の現状です。


※1 欧州排出権取引の中心的な取引市場であるアムステルダムの欧州気候取引所(ECX)より仮定。CER(クリーン開発メカニズム由来の取引額)が2008年6月で、約20ユーロ/t-CO2 (≒3200円)。

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排出権取引を動かしているのは誰なのだろうか?


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排出権取引は、主に3種類ある。


1.あらかじめ各国に割り当てられた排出枠(AAU:Assigned Amount Unit)

2.先進国が協力して実施する排出削減事業(JI:共同実施Joint Implementation)の実施により創出されたクレジット(ERU:Emissions Reduction Unit)

3.途上国における排出削減事業(クリーン開発メカニズム)(CDM:Clean Development Mechanism)の実施により創出されたクレジット(CER:Certified Emissions Reduction)


しかし今日、排出権取引といった多くの場合には、以下の2つのいずれかを指し、世界中で取引されている排出枠(クレジット)のほとんどがどちらかに相当している。

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CER:途上国における排出削減事業(CDM)の実施により創出された排出枠

EUA(EUアローワンス):EU域内(EU-ETS)で通用する排出枠


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2007年世界の排出量取引総量と取引額
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「諸外国における排出量取引の実施・検討状況」 環境省より引用


以上から実際に世界中で取引が行なわれているCERとEUAの2つについて、その実情をみていきたい。


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■クリーン開発メカニズム(CDM)由来のクレジット(CER)の取引

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CERの取引は、2007年における排出量取引全体の取引高のうち、約11.5%を占めている。
クレジット購入者は、2005年には日本企業がその主役だったが、2006年にはイギリス企業に抜かれている(イギリスは全排出量の50%を購入)。
イギリスは、既に京都議定書の削減目標12.5%に対し、14.1%の削減を実現していることからも、自国のCO2削減という目的ではなく、ヘッジファンド達の金儲けのために、排出権の買占めを行っているのです!

かねてから英国のブラウン首相は、「ロンドン・シティを国際炭素取引市場の中心地にしたいと発言しているようです。世界中の金融機関からありとあらゆる金融情報が集め、排出権売買の仲介をする金融基地としてのポジションをイギリスは狙っているのでしょう。数年後に日本政府はイギリスのヘッジファンドから高額のCERを購入することになるかもしれません。


CERを販売しているのは中国です。
CDMプロジェクト自体は、目覚ましい経済発展を続けるインド、南米、中国などを中心に広がっているが、実際に取引の中心となっているのは中国のCDMから創出されたCERであり、約60%のシェアを占めている。

その要因として、中国政府が国家主導で、国内企業のCDM実施を支援していることが挙げられる。中国政府はCDMプロジェクトのできるだけ早い段階、つまり国連による認定が行なわれる前の段階で、CERの売買契約を締結するように国内企業を指導しており、きちんと事業が進むかどうかが不明確なまま売買契約を締結することになるため、事業のリスク分だけ割安となる。このことが、安くクレジットを調達したい日欧の企業の目論見と一致して、CERの取引の大部分が中国に集中している。

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■欧州排出量取引制度(EU-ETS)における、排出枠(EUA)の取引

EU-ETSは、現在では欧州27カ国で実施されています。この制度は京都会議の2年前の95年から既にスタートしており、現状では世界で唯一CO2排出枠が義務付けられ、余った排出枠をEU圏内で売買できるシステムです。

ちなみに、2006年における排出枠(EUA)の取引は、全排出権取引総額の約82%を占めており、現在の排出権取引の中心といえるでしょう。

このEU-ETSに基づく取引額は欧州の主要取引所でみることができ、現在ではEUA(取引される排出枠)は30ユーロ/t-CO2という値がついてます。しかし、このEUAは過去に大暴落を経験している。


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2006年から2007年にかけて起きた大暴落で、その間、最高値の時期の1000分の一程度にまで下落してしまいました(30ユーロから0.03ユーロへ暴落)。
この要因は、当時EU-ETS制度全体で「EUAが余っている」ことが発覚したために起きたようです。「EUAが余っている」といのは、要するにEUがのCO2排出量以上に排出枠を確保し、各国に分配したことが原因ということです。現在ではこの排出枠の分配を欧州委員会が抑えていることで一定価格が安定していますが、そもそも排出枠の妥当性というものはかなり怪しいのではないでしょうか?

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以下の記事を見てもらえると、EUの排出枠の巧妙な交渉術が見えてきます。ここでもイギリスが絡んでいます。

京都議定書で嵌められた日本 1 『EU各国が8%の削減でまとまったのはなぜか?』


排出権取引の実情をみると、今後の環境市場の行方はEUとりわけイギリスが鍵を握っているように感じます。
イギリスといえば・・・・・。

また、ここでは触れませんでしたが、現在世界中で排出権取引制度が実現化しようとしています。
日本、オーストラリア、そしてアメリカも。

この辺りも今後分析してみたと思います。


図は以下のサイトから引用しています。
「ミツカン水の文化センター」
http://www.mizu.gr.jp/kikanshi/mizu_28/no28_f02.html

コメント

そもそも「気候取引所」って何?って感じです。

CO2削減に市場原理を導入する・・・って堂々とうたわれてるのですが、”市場原理”こそがCO2排出の原因ではないですか。

何でこんなペテンが成立してしまうのでしょう?

  • イヨー 2008年06月14日 22:04

仰るとおりです。

「CO2排出権取引」がなぜ成立してしまうのか?
少し分析すれば、そのおかしさに気づくはずですが、それを覆す動きは今のところあまりみえません。

マスコミ発の世界的な情報操作が原因ではありますが、一方で先進国の人々中心に、このまま大量生産大量破壊を繰り返す社会に対する問題意識が、(答えには至らず)目先的な流れを作り出してしまっているのではないかと思います。

  • andy 2008年06月14日 22:55

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