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2007年07月30日

日本はヨーロッパに似ていて、アメリカは中国に似ている?

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7月18日の記事「EUってなに?~共通市場を越えて?!~」は、今後の日本の外交関係をどうするか?を考える上でも、重要な課題だと思う。


「しのぶ」さんのコメントにもあるが、押さえるべき点は①ヨーロッパにかかる外圧と②民族性。まずは民族性を押さえておきたい。


西尾幹二氏の近著『国家と謝罪』(徳間書店刊)で、ヨーロッパと日本の近似性について注目すべき点が書かれていたので、引用させていただいた。


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明治以来の近代日本がずっと目標にし、学習してきたのはヨーロッパ文明だということです。明治以前は古代中国文明でした。いま日本人の血肉と化したヨーロッパ文明が他のアジア諸国、たとえば現代の中国と日本とを区別している「価値観」だということを、われわれは忘れかけています。あっさりアメリカの価値観に同調させない”内なるヨーロッパ”が日本にはあるのです。

むしろ私はこう考えています。日本はヨーロッパに似ていて、アメリカは中国に似ている、と。米中のどこが似ているのかといえば、ひとつは砂を噛むような個人主義ですね。そして、もうひとつは、それでいてかたや星条旗、かたや共産党の旗の下に(昔は皇帝の下に)あっという間に結集する。つまり徹底的に個人主義で、それでいて全体主義への傾きが非常に強い。

それに対して、ヨーロッパと日本は、個人と国家の中間に、地域共同体や同業者集団、家族主義的な小集団が存在します。こうした小集団の連合によって社会秩序を維持していた時代は、歴史的には「封建制」と呼ばれます。日本もヨーロッパも、長い封建制の歴史を持ち、そのなかで、ひとびとはいくつかの小集団に属し、それぞれに忠誠を誓い、互いの利害を調整しながら生きる智恵を育んできたのです。ところが米中はともに封建制の歴史を有していません。中国は秦より後は官僚支配の「郡県制」でした。したがって小集団が形成されず、個人万能のアナーキズムか国家絶対の全体主義かの両極端に走ってしまうのです。

さらに付け加えるならば、明治以降、日本が近代化のモデルとしてきたのはアメリカではなく、ヨーロッパでした。江戸時代まで中国から儒学などを学び、これを日本独自の思想に消化してきたように、憲法にせよ、文学にせよ、ヨーロッパとの格闘の中から、日本は近代を作り上げていった。

江戸までの日本人の思想の背景になっていたのが、仏教・神道・儒教であったとすれば、明治以降はちょうど儒教が西洋学に取って代わられた格好になります。その証拠に、たとえば仏教は鈴木大拙、神道は折口信夫をいったように、昭和の思想界にまで大きな峰をなす思想家を生むほどの影響を与えているのですが、近代日本で、儒教を基礎とした代表的な思想家は出ていません。代わりに西洋研究が大潮流となります。ヨーロッパを学ぶことは、近代日本において精神的な新たな伝統となっていったのです。

その一例が、昭和17年、「中央公論」に発表された座談会「世界史的立場と日本」ですね。あそこではランケが大きく取り上げられ、重要視されていますが、アメリカを相手に戦争が始まっているというのに、「超克」さるべき近代の中にアメリカは入っていません。アメリカ文化については、映画について少し言及されている程度で、ほとんど相手にしていない。

ところがそれだけ大きな影響を及ぼしたヨーロッパから、現在の日本はどんどん遠ざかり、アメリカ一辺倒の傾向がますます強まっている。日本の文化もそれだけ薄っぺらになっていく。これは思想面からいっても、危険な流れです。


日本と中国は同じ東洋、ヨーロッパとアメリカは同じ西洋、という括り方をされることが多いが、これは固定観念なのではないか。 その点で、西尾幹二氏の視点「日本はヨーロッパに似ていて、アメリカは中国に似ている」は慧眼に値する。我々も認識転換すべき点であろう。


個人主義と全体主義のアメリカ・中国、集団性が強い日本・ヨーロッパということだが、もう一つ、アメリカ・中国の共通性を挙げてみたい。


米中の共通性は、父系観念と力の原理の強さにある。中国では儒教や戸籍制度、アメリカでは「強い父親像」。そして、自分たちの力を正当化するために「中華思想」や「世界の警察官」といった理屈をつくり出し、その正当化観念によって国民が統合されてきた点も同じ(これが西尾氏が「全体主義」と呼ぶ所以であろう)。アメリカが戦争をやめない理由も、この正当化観念にあると思う。


父系観念⇒力の原理⇒正当化観念の強さ、それは母系集団の解体の歴史に由来する。「人類は、もともと多くの哺乳類がそうであるように母系集団(→婿取り婚)であった。しかし、約7000年前に登場した遊牧部族の段階で父系集団(→嫁取り婚)に転換し、この遊牧部族が次々と採取部族や農耕部族を侵略し、全ての母系集団を破壊してしまった。」(るいネット) 母系集団を破壊し、男の権力でもって支配する父系社会と権力の正当化観念によって統合される社会。その延長にあるのがアメリカと中国であろう。


それに対して、日本とヨーロッパでは母系集団が残存し続けた。日本で父系が始まったのは鎌倉時代以降で、それも武家だけで庶民はその後も母系を続けていた。ヨーロッパでもキリスト教の「聖母マリア」に代表される母系的な信仰や価値観が残り続けている。それが日本とヨーロッパの集団性の土台(←母系集団を守る女たちと男たち)にあるのではなかろうか。


いずれにしても、この日本とヨーロッパの共通性は、ヨーロッパを分析する上で不可欠の基礎的な認識であろう。


(本郷)

コメント

“ヨーロッパで母系集団が残り続けた”という点は、驚きでした。

そういえばヨーロッパって、巨石文明の痕跡が残っていたり、なまはげみたいな風習が残っていたりして、意外な側面があります。

そんな視点から検証してみる必要ありそうですね。

  • Hiroshi 2007年07月30日 22:59

 そういえば、政治学者のサミュエル・ハンチントンも「日本は中華文明には属さず、日本文明に属する文明の孤立国である。」と言ってましたね。

 日本の本質を知り、将来を探る為には単なる西洋・東洋という括りに囚われないほうが良いのかもしれません。

  • kato 2007年07月31日 22:13

 そういえば、政治学者のサミュエル・ハンチントンも「日本は中華文明には属さず、日本文明に属する文明の孤立国である。」と言ってましたね。

 日本の本質を知り、将来を探る為には単なる西洋・東洋という括りに囚われないほうが良いのかもしれません。

  • kato 2007年07月31日 22:13

米中が似ていることに異論はないが、
>ヨーロッパは、個人と国家の中間に、地域共同体や同業者集団、家族主義的な小集団が存在します。

具体的には?

>ヨーロッパでは母系集団が残存し続けた。

それって本当?

  •  2007年08月01日 22:11

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